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給与計算ソフトや勤怠管理システムを使うと、情報管理が楽になったり、事務の効率化にも繋がります。
ただし、労働者の少ない企業の場合など、必ずしも導入しなくてもいいケースもあります。 |
給与計算ソフトのケース
給与計算をする場合、当然に労働者が多くなるほど事務量は増えますので、そういった企業は導入するメリットはありますし、逆にソフトを導入しないと対処できないこともあります。
また、労働者がそれほど多くなくても、自社で年末調整もするのなら導入するメリットもあるかと思います。
ただし、労働者の少ない企業で年末調整も税理士に依頼するような場合は、必ずしも導入しなくてもよいかと思います。
とくに、新設企業の場合で、給与計算がよく分からないから、とりあえず給与計算ソフトを導入しようと考える方もいらっしゃいますが、こういう考えで導入すると、ソフトを使いこなせないまま費用だけ払い続けることにもなりかねません。
多くの給与計算ソフトは、「給与計算事務を楽にするソフト」であり、「給与計算が分からなくても、なんとなく給与計算事務ができるソフト」ではないからです。
仮に後者のようなソフトがあったとして、どういう仕様になるかを考えてみますと、多くの設定項目に多くの説明が表示される等しないと、素人目には使えませんので、かえって使い勝手の悪いソフトになる可能性もあるのではないかと思います。
勤怠管理システムのケース
インターネットの発達で、クラウドに対応したシステムや、テレワーク勤務も増加していることから、勤怠管理システム(労働時間管理を行うもの)の宣伝も増え、実際に導入する企業も増えています。
ソフトメーカーの宣伝文句では、ものすごく使い勝手のいいものにもみえますが、労働者が少ない企業の場合なら、導入しなくても、それほど差し支えはないと思います。
単にタイムカードの機能だけとして使うなら、それほど難しい設定もなく使えると思いますが、打刻された時間を労働時間に置き換えたり、置き換えた労働時間から時間外労働や休日労働の時間を計算したり、年次有給休暇の管理も行うつもりなら、労働時間法制をよく理解して設定しないと、滅茶苦茶な集計がされて返ってきます。
これも給与計算ソフトのケースで説明したとおり、「勤怠管理を楽にするシステム」であり、「労働時間の法律知識がなくても、なんとなく勤怠管理ができるシステム」ではないからです。
前述したとおり、単にタイムカードだけの利用ができればいいのであれば、細かい設定は必要ありませんが、打刻された時間した分かりませんので、この後に手計算やエクセル等の表計算ソフトを使って、労働時間に置き換えたり、時間外労働や欠勤等の振り分けをする必要があります。
場合によっては、最初から会社所定の用紙(またはエクセル表など)に労働時間を記載(または入力)してもらって、給与締日後に労働者から提出してもらうほうが効率がいいこともあります。
勤怠&給与&会計等の連動システムのケース
勤怠管理~給与計算~会計等が連動できるシステムもありますが、もちろん上手に使うことができれば、社内の事務を大幅に効率化することができます。
とくに社長1人で事務をされている場合ほど、この連動システムに魅力を感じる方が多いようです。
ただし、連動するための設定も必要ですし、内容によっては適正な更新タイミングで読込処理が求められたり、それぞれの業務知識がないと難しいことがあります。
また、間違っていたから遡ってデータを修正する必要がでた場合、何がどのように影響するのかを理解していないと、正しい修正もできません。
よく分からずに使っていると、後になって重大な間違いに気づいて、専門家に対応してもらっても難しかったり、かえって連動していないほうが良い場合も考えられます。
多くのことに対応できるシステムほど、このようなことが考えられますので、業務知識だけでなく、社内でシステム運用を中心とした業務フローを構築しないと、うまく機能しないでしょう。