
障害年金について、医師に診断書を求めたところ、断られてしまうケースが少なくありません。
患者側からすれば「診断書代も支払うのに、なぜ?」と不安になりますが、医師の正当な理由によって断られていることもあります。
本頁では、医師が障害年金の診断書を断る主な理由、中には不当な理由で断る医師の存在など、その辺の事情等について、お伝えしたいと思います。

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受診していない期間を請求している
医師がきっぱりと断る理由がこれです。
医師は「自分が診察していない期間」の症状について、責任を持って判断することができません。
病院に行くほどのことか躊躇していて受診していなかった期間や、症状が良くなっていたので通院をストップしていた期間などが、これにあたります。
過去の診断書への対応ができない
数年前の障害状態について診断書を求める「遡及請求」の場合、当時のカルテが残っていなかったり、当時の主治医が異なったりすると、医師は責任を持って書くことができないと判断します。
カルテ(診療録)は診療の記録ですから、診断書もこれに基づいて作成することになりますが、カルテの保存期間は法律上は5年間と規定されていますので、これよりも前の期間のカルテが処分されて残っていない場合も考えられます。
患者の圧で消極的になる
患者が障害年金が絶対取れるようにと、「実際の症状よりも悪いように診断書を書いてくれ…」のような圧が強いと、医師が消極的になる場合があります。
診断書というものは、医師の医学的所見と事実に基づいて記載することが義務づけられていますので、医師に無理やり書かせてはいけません。
障害年金の基準に該当しないから
医師が障害年金の基準に該当しないと判断していて、診断書作成を渋ることがあります。
「病気はあるが、日常生活は送れている。」と思われている場合や、診察室で見せる姿がしっかりしていて「診断書を書くほどの重症ではない。」と誤解されていると、このようなことになります。
障害年金の支給決定は主治医の判断で決まるわけではなく、あくまで国(年金機構)が決定するものですから、「それでも診断書の作成をお願いします。」という姿勢が大切です。
傷病手当金の証明書との誤解
傷病手当金の証明書は労務不能であるかを証明するものですから、医師が労務不能であると判断できないと証明書は発行されません。
その一方で、障害年金の診断書は現症日の身体等の状態を表すものであり、医師が障害年金に該当しそうではないからと、医師の判断で発行しないことを決められるものではありません。
どうもこの辺が、傷病手当金の証明書と障害年金の診断書とで、それぞれの文書の性質の違いを誤解している人(医師だけに限らず患者も)もいるようです。
もちろん、発行してもらった診断書で障害年金が不支給になってしまったとしても、それが適正に作成されたものである限りは、医師が責任を負うことはありません。
不当な理由で断る
一番最悪なケースがこれですが、医師が「単にめんどくさいから」「お金にならないから」の不当な理由で、患者からの診断書作成を断り続けることがあります。
表面上は「書きたくない」ではなく「書けない」と言って、患者があきらめてくれるのを待っているわけです。
患者からすれば、1枚の紙書類を作成してもらうために安くはない出費をするわけですが、医師からすれば、時間をかけて診断書代をもらうよりも、同じ時間で1人でも多くの患者の診察をしていたほうがお金になります。
こういった理由から診断書作成に消極的になったり、断固として拒否する医師がいるのです。
不当な理由で過去の診断書を断る
現在時点での診断書は渋りながらも作成はしてくれるが、過去の診断書になると断固として拒否する医師もいます。
お断りの文句としては、「今まで書いてと言われたことがない。」とか「そういった診断書は発行していない。」など、過去の診断書を取ること自体が普通じゃないみたいな言い方をされます。
過去の診断書を作成するには、過去のカルテや検査結果等を探して作らないといけませんから、現在時点の診断書を作成するより時間がかかります。
それゆえに、過去の診断書作成になると、余計に消極的になってしまうのです。
正当な理由のない診断書拒否は違法です
医師法で、「診察若しくは検案を求められた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」と定められており、これは診断書作成の場合も同様です。
正当な理由もないのに診断書作成を拒否する医師は、あきらかな法律違反をしていることになります。
今後の療養継続のため、このような医師が主治医であっても我慢して通っている患者の方もいますが、冷静に考えてみて、法律を守らない医師にかかりたいですか?
あなたの治療の面倒はみてくれても、あなたから面倒な診断書作成や、その他の面倒事があると、あなたを見放すかもしれません。
この悪質な医師のために、障害年金だけでなく、その他の公的制度による生活支援も受けられないかもしれません。
あなたの治療も生活支援も快く協力してくれる善良な医師はいますから、善良な医師に面倒をみてもらうようにしましょう。
医師への苦情等は
悪質な医師への苦情については、勤務医か開業医(病院長)かで、次のように考えればよいかと思います。
勤務医に対しての苦情であれば、勤務先の病院の苦情窓口、小規模医院の場合は病院長に申し入れるとよいでしょう。
開業医(病院長)への苦情であれば、医療安全支援センター、医師会、消費生活センター(医療に関する苦情も対象)が考えられます。
不当な理由での診断書拒否により、障害年金や公的給付金を受ける機会そのものを失ってしまった場合は、医師や病院に対する損害賠償請求の余地はありますので、このような場合は弁護士に相談するとよいでしょう。

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