
傷病手当金について、医師に証明書(意見書)を依頼したところ、断られてしまうケースが少なくありません。
患者側からすれば「こんなに辛いのに、なぜ?」と不安になりますが、医師が拒否するのには、医学的に正当な理由があります。
本頁では、医師が傷病手当金の証明書を断る主な理由、患者側から不当な要求とならないように、その注意点等について、お伝えしたいと思います。

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初診日より前の期間を請求している
医師がもっとも断る、かつ断らざるを得ない理由がこれです。
医師は「自分が診察していない期間」の症状について、責任を持って証明することができません。
具体例としては、4月1日から自宅療養していたが、医師の診察を初めて受けたのが4月10日だった場合、4月1日~4月9日の期間については「診ていないので書けない。」と断られるのが一般的です。
「労務不能(働けない状態)」とは判断できない
傷病手当金を受けるためには、単に「病気やケガであること」ではなく、「その仕事に従事できないこと」が条件です。
患者が「辛い」と訴えていても、検査結果や診察時の様子から、医師が「デスクワークなら可能である。」「軽作業なら問題ない。」と判断すれば、証明書は書いてもらえません。
安静にしていないと症状が悪化するような場合だと、医師も労務不能であると判断するかと思いますが、この辺は医師とよく話し合っておいてください。
通院実績が不足している
療養期間中、一度も診察を受けずに「事後報告」で証明書を求めた場合、拒否される可能性が高いです。
医師は、継続的な診察を通じて「回復の度合い」や「症状の継続」を確認しますから、例えば1ヶ月に一度も通院がない期間について、「ずっと働けない状態だった」と証明するのはリスク(虚偽記載の疑い)が伴います。
専門外の疾患である
例えば、内科の医師に「適応障害で働けない」という証明を依頼しても、断られることがあります。
医師の診断の妥当性として、精神疾患による労務不能の判断には、精神科や心療内科の専門的な知見が必要です。
責任ある医師ほど、自分の専門外の領域で「労務不能である。」と断言することを避けるでしょう。
信頼関係の構築ができていない
残念ながら、医師が「この患者は不正受給を狙っているのではないか」と疑念を抱いた場合に、証明書の記載を渋るケースもあります。
検査に異常がなく、客観的な症状も見られないのに、強く「働けないから書いてくれ。」と要求しすぎると、医師は医学的な客観性を保つために拒否することがあります。
傷病手当金が申請できるかの分かれ道となる部分でもあるため、患者側の感情として熱が入ってしまうこともあるでしょうが、「お願い」が「強迫」や「強要」となってしまわないように注意が必要です。
不当な理由で拒否される
前項までに述べてきたことは、医師に正当な理由があって証明書の記載を断られるといったケースですが、不当な理由で医師が拒むということもあります。
診断書等の文書の作成というのは、診察している時間に比べると病院の売上にはなりません。
仮に文書作成に1時間かかるとしたら、同じ1時間で何人もの診察をしたほうが、よっぽどお金になります。
こういった理由から、患者からの文書作成の依頼を拒んだり、あからさまに拒んでいるわけではないけど「たぶん申請しても意味がないから、やめといたら…」みたいな助言で、なかなか作成してくれない医師もいます。
不当な理由で拒否するというのは、医師の自由裁量として法的に認められていることではないので、正当な理由がない限りは、患者からの文書作成の依頼を引き受けなければなりません。
不当な理由での障害年金との比較
不当な理由で文書作成が拒否されるケースで、障害年金の診断書に比べると、傷病手当金の証明書を拒否されることは少ないと思います。
傷病手当金の証明書の欄をみれば分かりますが、それほど多くの記載項目があるわけではありません。
かたや障害年金の診断書の記載項目は多岐にわたります。
どうみても障害年金の診断書の作成時間のほうが多くかかるため、このような傾向があるといえます。
まとめ
以上、「医師が傷病手当金の証明書を断る理由」として、正当な理由と不当な理由を掲げて説明しましたが、医師が正当な理由で拒否するケースのほうが多数かと思います。
患者側としては、体調が悪いと思ったらすぐに受診すること、療養期間中は医師の指示通り定期的に通院すること、これらに気を付けて行動してください。

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