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書類送検について、解説しています。
書類送検とは
ニュースを見ていると、よく「書類送検」という言葉がでてきますが、軽い処分くらいに思っている方も多いようです。
簡単にいえば「身柄を拘束しない逮捕」と思っていただければ、言葉のイメージとしては近いのではないかと思います。
刑事事件の中には、逃亡のおそれがない、証拠隠滅のおそれがないなど、逮捕の要件を満たさない場合と、逮捕の要件を満たす場合でも、警察の判断で逮捕に踏み切らない場合とがあります。
逮捕しない場合は、警察は適宜被疑者を呼び出して取調べをするなどしながら、捜査を進めることになります。そうして取調べの結果などを書類にまとめたら、それを検察庁に送る手続きを行い、以降は検察官が取調べ等の捜査を行うことになります。
「書類を検察庁に送る」ということで「書類送検」と呼ばれるわけです。ちなみに、この「書類送検」とは、法律用語ではなくマスコミ用語の一種です。
書類送検されたら
書類送検されてしまったら、逮捕された事件と同じように、検察官からの取調べ等を受けることになり、最終的に罰金刑が科せられたり、裁判にかけられて執行猶予付きの懲役刑や、実刑に処されることもあります。
逮捕されるような事件と比べると、軽い処分で終わる場合が多いようですが、そもそも逮捕される場合というのは、重大な事件の割合が大きいからであって、書類送検なら軽い処分で済むというわけではありません。
労働事件の場合
当事務所は社会保険労務士の事務所でもありますから、労働関係法令違反の送検事情について触れておきたいと思います。
労働関係法令違反の場合は、そのほとんどが書類送検で、逮捕されることは滅多にありません。
違反した企業や経営者などは特定できますし、無期懲役などの重い刑罰となる可能性も低いことから、逃走を図る経営者も少なく、身柄を拘束する必要まではないと判断されることが多いからです。
実際に、労働関係法令違反の司法警察員である労働基準監督官も、違反企業の経営者に手錠をかけたことがある人は、ごく稀でしょう。
労働関係法令違反で書類送検される傾向としては、労働時間や賃金不払い等の違反を繰り返し労働基準監督署からの是正勧告を受けても放置しているような場合、労働災害による死亡事故や重大事故が発生した場合、故意に法違反の隠蔽をしている場合などが考えられます。