トップページ > お役立ち(司法書士コラム) > 会社設立に必要な定款とは
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会社を設立するにあたって必ず必要になるのは何だと思われますか?
それは「定款(ていかん)」になります。定款とは一言で言い表すと、会社運営のルールブックになります。
この頁では、この「定款」について、いくつか記載しておきたいと思います。 |
何故、定款が必要になるのか
まず、定款の作成をしなければ、会社(法人)の設立登記をすることができません。
定款には、以下のように、会社の基本情報や運営のルールを記載します。
●会社名は?
●会社の事業目的は?
●会社はどこにあるの?
●株式は最初どのくらい発行するの?
●株主総会はいつ開催されるの?
●取締役は何人で、取締役の在任期間はどのくらい?
●会社の決算期は何月? |
例えば、会社は各事業年度に係る計算書類(貸借対照表、損益計算書...等)を作成しなければなりませんが、きちんと定款で決算期の定め(ルール)を規定していないと、その計算書類が作成できないという不都合が生じます。
上記のようなことから、定款は、会社を運営していく際のルールブックになるのです。
ちなみに、会社と労働者との間のルールブックは「就業規則」といわれるものです。
モデル定款をそのまま使用してしまうと
例えば、取締役が2名(以下「A、Bさん」とします。)で、モデル定款の取締役の任期が「選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結の時」となっているものを、そのまま使用したとします。
もし、2年毎に役員変更登記を行うことを忘れていた場合は、選任懈怠や登記懈怠という会社法で定められた規定違反という取扱いをされることがあります。
また、Bさんが任期途中で退任し、新規取締役(以下「Cさん」とします。)が就任した場合に、そのままだとCさんは「選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結の時」までが任期となります。
となると、AさんとCさんの任期が異なるので、各々の役員の任期の管理が困難になることもあります。
そのような場合は定款で、補欠として就任した取締役(Cさん)の任期は、退任した取締役(Bさん)の任期満了日と同一日とするように規定をすることで、役員の任期を揃えることができて、以後の任期の管理が楽になります。
どのような定款を作成すべきなのか
よくいわれるのは会社の機関(取締役会や監査役を設置するか否か)や役員の任期(2年、5年、10年...等)をどうするかというものでしょう。
これに関しては、会社の実情に合う形で作成した方がよいかと思います。
新たに役員を増員する予定がないような一人会社の場合は、取締役会や監査役を設置する必要はないでしょうし、任期も10年にしておくことで、重任登記の申請をする頻度が少なくなります。
しかしながら、複数の取締役が就任しているような会社が任期を10年などの長期にしていた場合で、ある取締役を任期途中で解任をしたとします。
このような場合は、任期満了日までの損害賠償請求をされることもあるために、あまり長期の任期としておくことは避けた方がよいかもしれません。
こういったことも想定し、将来的に紛争の生じないような定款にしておくことが懸命でしょう。
会社が就業規則によって労使間の秩序を維持できるのと同じように、会社運営をスムーズに行うには、会社の状況に応じた定款を作成する必要があります。