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労働者の配置・転換について、主な基礎知識を掲載しています。
人事労務経営のご参考にお役立てください。 |
使用者の配転命令権とは
労働者が入社すれば、最初の配属先と職種が割り当てられることになり、その後は、人事異動によって部署や職種が変わっていくことになります。
この使用者による配転命令権ですが、「使用者が労働契約上、当然に有する権限」とする考えと、「就業規則等に明記することで使用者に与えられる権限」とする考えがあります。
いずれの考えによる場合でも、後者の考えをとって、就業規則等に明記しておいたほうが、より具体的に配転命令を行使することができるようになります。
ただし、配転命令が権利の濫用とならないか、個別の労働者との間で特約がないか、という部分には気をつけなければなりません。
配転命令による権利の濫用とは
配転命令権が使用者にあっても、労働者とトラブルになり、権利の濫用と認定されてしまうと無効となります。
権利の濫用か否かを判断する基準としては、以下の3つがあります。
●業務上の必要性はあるのか
●労働者の被る不利益の程度
●不当な動機や目的がないか
配置・転換による特約とは
配置・転換を行うにあたって、使用者の配転命令権が有効に機能していれば、個別に労働者の同意は必要ありませんが、労働契約に「人事異動を行わない」旨の特約があれば、その変更には労働者の同意が必要となります。
よくある主な特約としては、以下の2つがあります。
●職種限定の特約
●勤務地限定の特約
在籍出向と移籍出向の労働者の同意
在籍出向(出向)とは、労働者との労働契約関係は継続したまま、別の企業で勤務してもらうことをいいます。
これに対して、移籍出向(転籍)の場合は、労働契約関係が終了して、別の企業で勤務してもらうことになります。
在籍出向は就業規則等に出向を命じる旨の定めがあれば、労働者の同意を得なくても行うことができますが(出向中の労働条件等への配慮は必要)、移籍出向は労働契約関係が終了という重大な変更となりますので、労働者の同意がないとできません。