トップページ > お役立ち > 人事労務の基礎知識(社労士コラム) > 社会保険(健康保険、厚生年金)の加入条件
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労働者を雇い入れて事業を行うには、条件によっては、社会保険の適用事業所としての義務が発生します。
この頁では、どのような場合に社会保険に加入する義務があるのかなど、社会保険の加入条件について説明しています。 |
社会保険の適用事業所
以下に該当する事業所は、社会保険(健康保険、厚生年金)の強制適用事業所となりますので、事業所としての加入の手続きをしなければなりません。
●法人である事業所
●個人(一部の業種
(※)を除く)で5人以上の労働者(被保険者となるべき者)がいる事業所
上記に該当しなければ、社会保険(健康保険、厚生年金)の加入は任意となりますが、労働者(被保険者となるべき者)の半数以上の同意を得て、適用事業所(任意適用事業所)になることはできます。
※一部の業種のうち主なもの
第一次産業 |
農業、牧畜業、林業、水産養殖業、漁業等 |
サービス業 |
ホテル・旅館、料理飲食店、理容理髪、浴場、洗濯、映画演劇、ダンスホール、競馬競輪、ボウリング、野球場、保養施設等 |
宗教 |
神社、寺院、教会等 |
法務 |
弁護士、会計士、税理士、社会保険労務士等は、2022年10月からは一部の業種から除かれます。 |
社会保険の被保険者となる人
社会保険(健康保険、厚生年金)の適用事業所に常時使用される通常の労働者(フルタイム勤務者)は、被保険者となります。
常時使用されるパート等の短時間労働者の場合は、1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、同じ事業所で同様の業務に従事している通常の労働者の4分の3以上であれば、被保険者となります。
ただし、上記の4分の3以上を満たさない場合であっても、以下の全てに該当する場合は被保険者となります。
1.1週間の所定労働時間が20時間以上である。
2.2ヶ月以上の雇用期間が見込まれる。
3.1ヶ月の賃金月額(所定内賃金)が88,000円以上である。
4.学生(夜間、通信、定時制は除く)ではない。
5.特定適用事業所(被保険者数が51人以上の企業)または任意特定適用事業所(被保険者数が50人以下で、社会保険加入の労使合意がある企業)に勤めている。
※2024年9月までは、上記5は「特定適用事業所(被保険者数が101人以上の企業)または任意特定適用事業所(被保険者数が100人以下で、社会保険加入の労使合意がある企業)に勤めている。」となります。
法人の役員の場合は、
こちら(会社役員の社会保険の取り扱い)をご覧ください。
社会保険の被保険者とならない人(雇用期間によるもの)
以下の労働者は社会保険(健康保険、厚生年金)の被保険者となりませんが、一定期間を超える場合は被保険者となります。
●日雇労働者(ただし、1ヶ月を超えて引き続き使用されるに至った場合は、その日から被保険者となる。)
●2ヶ月以内の期間を定めて使用される人(当初の雇用期間が2ヶ月以内であっても、当該期間を超えての雇用が見込まれる場合は、契約当初から被保険者となる。)
●4ヶ月以内の季節的業務に使用される人(ただし、継続して4ヶ月を超える予定で使用される場合は、当初から被保険者となる。)
●6ヶ月以内の臨時的事業の事業所に使用される人(ただし、継続して6ヶ月を超える予定で使用される場合は、当初から被保険者となる。)
※2022年9月までは、上記2段目は「2ヶ月以内の期間を定めて使用される人(ただし、所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合は、その日から被保険者となる。)」となります。
社会保険の被保険者とならない人(その他)
以下の労働者は社会保険の被保険者となりません。
●船員保険の被保険者(健康保険のみ)
●国民健康保険組合の被保険者(健康保険のみ)
●後期高齢者医療の被保険者(健康保険のみ)
●70歳以上の人(厚生年金のみ)
●所在地が一定しない事業所に使用される人(健康保険、厚生年金)
社会保険の適用拡大
社会保険の適用拡大とは、分かりやすくいうと、我が国の社会保険の被保険者を増やすための法改正のことです。
法改正なので、法の施行日から新たに被保険者の対象になった人については、被保険者の資格取得届の手続きを行わなければなりません。
2016年10月1日からの適用拡大の法改正の流れは、以下のとおりです。
2016年10月1日~ 短時間労働者の適用拡大 特定適用事業所(被保険者数が501人以上の企業)に勤務する労働者(以下の(1)~(4)を満たす人)が対象となる。
(1)1週間の所定労働時間が20時間以上である。
(2)1年以上の雇用期間が見込まれる。
(3)1ヶ月の賃金月額(所定内賃金)が88,000円以上である。
(4)学生(夜間、通信、定時制は除く)ではない。
2017年4月1日~ 短時間労働者の適用拡大 任意特定適用事業所(被保険者数が500人以下で、社会保険加入の労使合意がある企業)に勤務する労働者(上記
2016年10月1日~の(1)~(4)を満たす人)が対象となる。
2022年10月1日~ 短時間労働者の適用拡大 特定適用事業所の被保険者数が501人から101人と引き下がり、上記
2016年10月1日~の(2)の1年以上の雇用期間が2ヶ月以上の雇用期間と引き下がる。
2022年10月1日~ 有期雇用労働者の適用拡大 2ヶ月以内の期間を定めて使用される人は、「所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合は、その日から被保険者となる。」であったが、「当初の雇用期間が2ヶ月以内であっても、当該期間を超えての雇用が見込まれる場合は、契約当初から被保険者となる。」となった。
2022年10月1日~ 法務業の適用拡大 個人の法務業(弁護士、会計士、税理士、社会保険労務士等)で5人以上の労働者(被保険者となるべき者)がいる事業所が対象となる。
2024年10月1日~ 短時間労働者の適用拡大 特定適用事業所の被保険者数が101人から51人と引き下がる。
関連リンク
扶養の概念と所得税と社会保険の基準/社会保険労務士 暁事務所
(健康保険の被扶養者の加入条件等について記載しています。)
労働保険(労災保険、雇用保険)の加入条件/社会保険労務士 暁事務所
(社会保険と併せて確認しておきたい労働保険の加入条件について記載しています。)