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社労士から紹介料を得る紹介ビジネスは違法

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社会保険労務士に仕事を依頼したいとお考えの見込客の方(主には企業の方)に向けて、社会保険労務士を紹介する(ビジネスマッチング)というビジネスが存在しますが、法律に違反したビジネスである可能性が高いのでご注意ください。

本頁では社会保険労務士法を根拠に、このようなビジネスに問題がないかを考えていきたいと思います。


紹介ビジネスの主な内容

紹介会社のビジネスについて、当事務所が知っている範囲で記載しますと、主に以下のような内容であるかと思います。

1.運営は社会保険労務士ではない民間の企業や個人事業主が行っている(本業はインターネットビジネス等の会社が多い)。

2.あらかじめ全国のエリアごとに一定の社会保険労務士と提携しておく。

3.集客方法はインターネットが中心で、グーグルやヤフーなどのリスティング広告も併用している場合もある。

4.紹介会社のサイトや広告などには、格安の社会保険労務士、特定の業種や業務に強い社会保険労務士を、無料で紹介できます、無料で複数事務所の見積りをとることができます、などと記載されている。

5.見込客と社会保険労務士との間で顧問契約等が成立したら、社会保険労務士が紹介会社に紹介料を支払う。

6.紹介料は1年間の報酬見込額(顧問料と単発で依頼を受ける業務)の50%などと、非常に高額に設定されている。

上記6の紹介料について、例えば、1ヶ月の顧問料が3万円で、初年度に就業規則の作成依頼を24万円で受ける場合であれば、3万円×12ヶ月の36万円と24万円の合計で60万円となりますから、その50%である30万円が紹介料となります。

紹介会社にとっては1件のビジネスマッチングが成立したら30万円を受け取ることができますが、社会保険労務士にとっては顧客に1年間の仕事を提供してようやく30万円となるわけですから、紹介会社からしてみれば非常にコストパフォーマンスのよい美味しいビジネスとなるわけです。

比較サイトや見積りサイトが紹介ビジネスの場合も

あからさまに「社会保険労務士を紹介しますよ。」という紹介会社もあれば、実は比較サイトや見積りサイトが紹介ビジネスを兼ねていることもあります。

そのような比較サイト等をみてみると、複数の社会保険労務士事務所のサイトが掲載されていて、あたかも複数の事務所と提携しているかのようにみえることもありますが、これは単に比較サイト等の業者がリンクを貼っているだけだったり、純粋に広告としての掲載がされているだけだったりします。

比較サイト等にも「○○県の社会保険労務士」「○○市の社会保険労務士」「○○が得意な社会保険労務士」などとは記載されていても、提携している旨の記載がなければ、業者と社会保険労務士が業務提携をしているわけではありません。

要は業者側としては、たくさんの社会保険労務士と提携しているかの如く、みせかけたいわけなのです。

こうして、実際に比較サイト等の利用客が現れたら、複数の社会保険労務士事務所に「仕事の案件があります。」のように電子メールで配信し、業務を受託するなら、業者に情報料や紹介料が必要な旨をいってくるのです。

ちなみに、当事務所はこのような紹介ビジネスに乗ったりはしません。理由は、社会保険労務士法第23条の2(非社会保険労務士との提携の禁止)の規定に抵触することになるからです。

紹介会社を利用する見込客側のデメリット

例えば「格安の社会保険労務士を無料で紹介しますよ。」とあれば、一見すると見込客側には何のデメリットはなさそうですが、社会保険労務士側からすれば紹介会社に高額な中間マージンを支払うことになるため、見込客側にも以下のような影響が考えられます。

紹介会社に登録している社会保険労務士が少ない(地方はさらに少ない)ため、限られた社会保険労務士しか紹介されない。

紹介会社と社会保険労務士が密に連携しているわけではないので、紹介会社としては事務的な事項くらいしか、それぞれの社会保険労務士の個性や特徴を把握していない。

紹介会社側が登録する社会保険労務士の顧問料の基準を定めているため、一見すると顧問料が安いようにみえても、顧問料に入っていない業務やオプション料金がたくさん設定されているため、トータルで考えれば安くない。

社会保険労務士側の他の直接契約の顧客と比べると、なるべく時間をかけないようにしか対応してくれない。

紹介された社会保険労務士を解約したいが、一定期間の解約はできない旨の「しばり条項」が契約書に記載されている。

前記のしばり条項に反して社会保険労務士を解約する場合は、一定期間までの違約金が必要となる。

また、紹介会社が社会保険労務士ではない場合は、社会保険労務士法などをよく理解していないこともありますので、紹介ビジネス自体が違法であったり、詐欺や悪徳商法の可能性もあります。

場合によっては、紹介されて契約した相手が、偽者の社会保険労務士であることも考えられます。

紹介ビジネスは成立しないのか(社会保険労務士法第23条の2の制限)

前の項(紹介ビジネスの主な内容)で記載したような紹介ビジネスは、紹介会社にとって美味しいビジネスともなり得そうですが、ここに社会保険労務士法第23条の2の制限が関係してきます。

社会保険労務士法第23条の2(非社会保険労務士との提携の禁止)
 社会保険労務士は、第26条又は第27条の規定に違反する者から事件のあつせんを受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。

※社会保険労務士法第26条(名称の使用制限) … 社会保険労務士でない者が社会保険労務士の名称や類似する名称を使用してはならない旨などを規定している。

※社会保険労務士法第27条(業務の制限) … 社会保険労務士でない者が社会保険労務士の業務を行ってはならない旨などを規定している。

社会保険労務士法第23条の2を簡単に解釈しますと、社会保険労務士は非社会保険労務士(社会保険労務士でない者)から仕事(労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成と手続代行、同法令に基づく帳簿書類の作成など)のあっせんを受けたり、非社会保険労務士に自己の名称を使わせてはならないということです。

ただし、この場合の「あっせん」とは、知り合いの企業からの紹介とか、税理士などの他士業からの紹介のように、紹介料などの金銭の授受が目的ではない人脈等の厚意による場合や、単に広告としての場合は含みません。

以上のことから、社会保険労務士法第23条の2の規定が厳格に守られるのであれば、紹介ビジネスや営業代行ビジネスなどは、そもそも存在してはならないビジネスということになるはずです。

紹介ビジネスは業務制限違反か(社会保険労務士法第27条の制限)

前の項(紹介ビジネスの主な内容)で記載したような紹介ビジネスは、社会保険労務士法第27条の制限に抵触する可能性があります。

社会保険労務士法第27条(業務の制限)
 社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、第2条第1項第1号から第2号までに掲げる事務を業として行ってはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務に付随して行う場合は、この限りでない。

※第2条第1項第1号から第2号までに掲げる事務とは、労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成と手続代行、同法令に基づく帳簿書類の作成などのことです。

社会保険労務士同士であれば、元請と下請の関係で業務を遂行することは法律違反にはなりませんが、元請又は下請の片方が社会保険労務士でない者の場合は法律違反となります。

紹介会社が社会保険労務士に見込客の紹介をし、それによって利益を得ることは、紹介会社が元請となり、社会保険労務士が下請として、見込客からの仕事の全部を受託する関係と類似するともいえます。

法律の解釈については、あくまでも実態がどうかで判断しますので、紹介会社が「単なる紹介だから…」と主張していても、実態が仕事を請け負っていると同一視されるような場合は、この社会保険労務士法第27条の業務制限に違反する可能性があります。

ちなみに、社会保険労務士同士の元請と下請の関係ですが、業界全体で少ないとは思いますが、元請となる社会保険労務士が病気等の場合や、受託中の仕事が集中していて思うように業務遂行ができないような場合に、知り合いの社会保険労務士に下請としてお願いするということはあり得るかと思います。

参考事例(茨城県社会保険労務士会より)

茨城県社会保険労務士会のサイトに、社会保険労務士の紹介や業務提携に関して、Q&A方式で大変分かりやすく掲載されています。

以下のQ(事例)について、考え方から結論に至るまで丁寧に回答されていますので、ご覧になってみてください。

Q:例えば税理士事務所やコンサル会社等に社労士がいる場合、その事務所やコンサル会社に社労士業務を依頼できますか?

Q:他士業の事務所やコンサル会社、サービス会社等が広告、宣伝や営業活動等を行って社労士に業務を依頼したい人を集め、社労士を紹介するような営業代行業務を行うことについては、問題がありますか?

Q:社会保険労務士は、その業務を社会保険労務士事務所以外の事業所等と提携して行うことはできますか。

Q:当社はいろいろな中小企業とお付き合いがあるのですが、あらかじめ社労士と申し合わせをして社労士を必要としている事業所に社労士事務所を紹介し、社労士事務所からそれに対し一定額の「紹介料」を支払ってもらうようなことは問題ないですか。顧客を紹介される社労士事務所にとっても、紹介料をもらう当社にとってもよい話だと思うのですが。

Q:例えば「就業規則作成」や「助成金」等の社労士業務について、「専門家によるサービスの提供」などの形で社労士ではない業者が商品化して一般の事業所等に営業活動を行い、成約した場合には営業活動を行う業者が社労士をお客様に紹介する、そして紹介された社労士がお客様と契約して実際に業務を行い、顧客から社労士に支払われた顧問料等の料金の一部を、営業活動を行う業者に支払うという紹介ビジネスは問題ありますか。

<関連リンク>
社労士と社労士制度_よくある質問(社労士でない者の業務制限と業務侵害行為)/茨城県社会保険労務士会
(社労士でない者の業務制限等について、Q&A方式でわかりやすく説明されています。)

まとめ

以上、社会保険労務士法第23条の2と第27条の制限規定によって、紹介ビジネスは違法となる可能性が高いといえるでしょう。

また、悪質な紹介会社に、見込客の方や社会保険労務士で開業して間もない方など、詐欺や悪徳商法のカモとされる可能性もあるかと思います。

そもそもなぜこのような紹介会社等の仲介業者の介入を阻むようになっているかというと、社会保険労務士法第1条と第1条の2の規定が根底にあるからだと思います。

社会保険労務士法第1条(目的)
 この法律は、社会保険労務士の制度を定めて、その業務の適正を図り、もつて労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資することを目的とする。

社会保険労務士法第1条の2(社会保険労務士の職責)
 社会保険労務士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正な立場で、誠実にその業務を行わなければならない。

社会保険労務士は労働社会保険諸法令に関する法務の専門職ですから、依頼人の法的な権利義務の実現に向けて適正な業務運営を行っていく必要があります。

しかし、顧客がつかないと廃業のリスクがあるのは一般のビジネスと同様で、このような弱みに付け込まれて、社会保険労務士法や社会保険労務士の職業倫理を理解していない悪質な仲介業者の介入を許してしまうと、社会保険労務士制度の健全な発達や福祉の向上、法的弱者である依頼人の権利義務の実現に向けての適正運営などの阻害要因となり得ることから、このような制限が設けられているのです。

社会保険労務士以外の法律職である他士業(弁護士、司法書士、税理士など)も、これと同等の制限(士業によって若干の差はありますが)がありますので、併せて注意しておきましょう。

関連リンク

ニセ社労士にご注意ください/全国社会保険労務士会連合会
(ニセ社労士に騙されないように、注意事項や社労士法などについて記載されています。)
メニュー(その他お役立ち知識)へ


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