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労働時間について、主な基礎知識を掲載しています。
人事労務経営のご参考にお役立てください。 |
労働時間とは
労働時間とは、以下の2つの要件を満たした時間をいいます。
●使用者に労務の提供をしている。
●使用者の指揮命令に服している。
直接的に使用者の指揮命令を受けていなくても、就業規則・労働条件通知書・勤務シフト等で定められた所定労働時間は、使用者の指揮命令に服しているといえます。
具体的には、以下の3つが労働時間となります。
●実作業時間
●手待ち時間(就労のために待機している時間)
●労働のための準備や整理時間
労働時間の具体例
労働時間の具体例としては、以下のとおりです。
<労働時間になるもの>
●昼休み中の来客対応や電話当番
●労働安全衛生法による安全教育や安全衛生委員会の出席時間
●作業前の作業服への着替え時間
●作業場所までの歩行時間
●宿直中の突発的な業務を行う時間
●有害業務従事者の特殊健康診断中の時間
●次の事業場への移動時間
●強制参加の研修時間
●事業場の清掃時間
<労働時間にならないもの>
●自由に利用できる休憩時間
●休憩時間中に外出制限を受ける場合でも、事業場内で自由に休息できる時間
●参加自由の研修時間(法に定めがないもの)
●作業後の着替えや入浴時間
●事業所の施設に入った時間から始業時刻までの時間
●終業時刻から事業所の施設を出るまでの時間
<労働時間として取り扱うことが望ましいもの>
●一般健康診断を受ける時間
みなし労働時間制
労働者が事業場の外で労働し、使用者がその労働時間を把握することができない場合に、所定労働時間の労働をしたものとみなす制度です。ただし、事業場外の労働であっても、労働時間を管理する者がいるときは対象となりません。
その他、裁量労働によるみなし労働時間制があります。これは、業務の性質上その遂行の手段や時間の配分等について使用者が具体的な指示をせず、実際の労働時間ではなく、労使の合意で定めた時間を労働したとみなす制度で、専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制の2つがあります。
所定労働時間と法定労働時間
労働契約で定めた労働時間のことを所定労働時間といいます。この所定労働時間は法定労働時間以内で定めなければなりません。
法定労働時間とは、以下の時間のことをいいます。
◆法定労働時間(原則)
1日8時間以内、1週間40時間以内
◆変形労働時間(法定労働時間の例外)
1ヶ月単位や1年単位の変形労働時間制などによって、変形期間中の1週間の平均が40時間以内となるよう決められた時間
法定休日と休憩時間
労働時間を考える上で、法定休日と休憩時間も密接に絡んできます。
<法定休日>
使用者は労働者に対して、毎週1回の休日か、4週間を通じて4日の休日を与えなければなりません。
<休憩時間>
使用者は労働者に対して、1日の労働時間が一定時間を超える場合は、労働時間の途中に休憩時間を与えなければなりません。
●1日の労働時間が6時間を超えるとき … 45分以上の休憩時間が必要
●1日の労働時間が8時間を超えるとき … 60分以上の休憩時間が必要
労働時間、休憩、休日の適用除外
以下の労働者には、労働基準法で定める労働時間、休憩、休日の規定が適用除外されます(深夜労働、年次有給休暇は適用除外とならないことに注意)。
●農業又は水産業等の事業に従事する者
●管理監督者、機密の事務を取り扱う者
●監視又は断続的労働に従事する者
●宿日直勤務者
<管理監督者の判断基準(参考)>
管理監督者とは、部長や工場長など、単に役職に就いている者のことを指すのではなく、その者の職務内容・責任と権限・勤務態様・待遇などを考慮して、以下に示すとおり、実態により判断する必要があります。
●経営者と一体的な立場で仕事をしているか
●出社・退社や勤務時間について、厳格な制限を受けていないか
●その地位にふさわしい待遇(賃金等の労働条件など)がなされているか