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退職金について、主な基礎知識を掲載しています。
人事労務経営のご参考にお役立てください。 |
退職金の支払義務
退職金も賞与と同様に法的な支払義務はありません。
退職金の支払いを制度として導入する場合は、就業規則の相対的記載事項となりますので、就業規則に退職金の定めを設けて、それに基づいて運用していくことになります。
退職金の規定に設けるべき事項としては、支給の対象者や欠格要件、計算方法や将来の支給に備えての保全措置などが考えられます。
規定がないのに長年に渡って退職金を支払っている企業もありますが、このような既成事実があれば、その企業の労働慣行とみられ、退職金の不支給や減額等で労使紛争となる可能性もあります。
よくある計算方法
退職金の額を、どう計算するかは就業規則の定めによりますが、よくある計算方法として、以下のようなパターンがあります。
◆よくある方式(算定対象額 × 勤続年数に応じた率 + 調整額)
基本給などの月額を算定対象額とし、それに「勤続年数に応じた率」を掛けて計算する方法。在職中の特別な功労を評価して加算したり、懲戒処分などの非行行為による減額を行う場合は、調整額で対応します。その他、「勤続年数に応じた率」を会社都合か自己都合かの退職によって分けることもあります。
◆ポイント制退職金制度
在職中の企業への貢献度(例えば人事評価による点数や職務内容、役職など)に応じて、1年ごとにポイントを付与し、これを累積したものにポイント単価を掛け合わせて、退職金を算出する制度のことです。退職金に在職中の成果の見返りとしての機能を持たせるのが特徴です。この制度を運用していくためには、長年に渡るしっかりとした人事管理を行っていく必要があります。
◆よくある方式とポイント制退職金制度との併用
例えば、退職金の内訳を保障部分と評価による加算部分に分けて、保障部分についてはよくある方式で計算した額を、評価による加算部分についてはポイント制退職金制度に基づいて計算した額を、それぞれ合算して退職金とする方法。
退職金の不支給や減額についての注意点
就業規則で退職金を支払う旨を定めていても、懲戒解雇する労働者や企業に重大な損害を与えた労働者には払いたくないと思うのが、使用者である経営者の方の人情であるかと思います。
このような場合に備えて、退職金の不支給や減額支給を行う場合は、就業規則にその旨の定めをしておくことが必要です。
退職金の不支給や減額についての一般的な事由としては、主に以下のような場合が掲げられます。
●懲戒解雇によって退職する場合
●退職後の競業避止、秘密保持義務に違反したこと
●服務規定の違反など、労働者の重大な過失によるもの
ただし、実際に退職金の全額を不支給とするには、長年に渡る功労を無にするような懲戒事由(著しい不信行為、暴行・横領等の刑事事件に該当する行為など)がないと難しいです。
また、退職金の一部を減額する場合でも、その必要性と労働者の被る不利益の双方を勘案して判断する必要があります。